ワクチン接種開始目標前倒しに、どれだけの効果が期待出来るのか?
NHKニュースによると、
菅総理大臣は、2日夜、総理大臣官邸で記者会見し、新型コロナウイルスのワクチン接種の開始時期について「できるかぎり今月下旬」としてきた目標を前倒しして、今月中旬を目指す考えを明らかにしました。
とのことである。
何のためにワクチン接種を行うのか?
「コロナに罹患する者を無くし、そしてそれによって失われる命を、一人でも多く救うため」
一見当たり前のようだが、今回の事態においては、もっと重大な目的がある。
「集団免疫を確立し、一刻も早く、経済を正常な状態に戻すこと」
後者の観点から見て、ワクチン接種開始日を2週間前倒しすることに、どれだけの効果が期待出来るのか。
人々が「マスクをする」などの基本的な行動は取ることを前提にしたとしても、飲食や旅行を始め、興行、買い物、あらゆる局面で何の制約もなく、経済活動を行えるようになるためには、全体の何割にワクチン接種が完了すれば良いのか。
5割か、8割か、9割か。
正確な割合は現時点で不明ではあるが、一定人数にワクチン接種が完了することが必要である。それは何万人レベルの話ではなく、何千万人単位であることは明らかだ。
5千万人か、8千万人か、9千万人か、1億人以上なのか。
肝心なのは、「いつ始めるか?」ではなく「いつ目標に到達出来るか?」である。
2週間早く接種を始めたことにより、2週間早く目標に達するのであれば、それなりの効果が期待できる。
だが、1万人に対して2週間早く接種出来たとしても、結果が同じであれば、現状打開に殆ど効果のないことに対して、大騒ぎしているに過ぎないことになる。
2・3日前のニュースにて、ワクチンの保管に必要な「超低温冷凍庫」について
「政府はディープフリーザーと呼ばれる超低温冷凍庫を各地の国公立病院に発送する作業を始めました。」
「政府は今後、一般向けの接種に向けて超低温冷凍庫およそ1万台を確保し、6月にかけて全国の自治体に配備する計画です。」
これだけを見ると、一般人に対する本格的な接種開始は、6月以降ということになる。
接種開始を2週間早めることに対して、どれだけの意味があると言うのか。
なぜ、2週間早めることにしたのか。
「対応が遅い」との非難から逃れるためと思われる。
その背景には「対応が遅い」と、政府を非難する声がある。
全体を見据えることなく、ただ国民に解り易いと言うだけの理由で、「政府の対応は遅い」と、非難する者。
せめて彼らに「ここをこうするべきではないのか?」との、接種開始を早める案があるのであれば、真摯にその意見を聞くべきである。
だがマスコミや野党の、自分達には何一つ策がないにも関わらず、ただ政府を責め立てるだけの態度は、どうなのか。
むしろ全体のスケジュールに支障を来す結果に陥ってはいないか。接種開始を2週間早めるために、どかに無理を強いているのであれば、その労力はもっと別の所に割くべきではないのか。
そう、政府が明確に発信できない日本社会の現状に、問題はないのか。
ワクチン接種開始目標前倒しに、どれだけの効果が期待出来るのか?
■効果あり
・周りから圧力をかけられないと、政府は本気で動こうとはしないので、野党のバッシングは非常に有益である。
・2週間早めれば、オリンピック開催のプラス要因になる。
■効果に期待したい
・日本が経済崩壊に陥る期限は、思ったより早いかもしれない。その2週間の差で、かろうじて難を逃れられる可能性がある。
■あまり効果なし
・2週間の間に数千人に接種出来たとしても、冷凍庫の配備や医師の確保などの要因で、本格的な接種が開始できる時期に影響はない。
・今、「いかにして接種開始を2週間早くするか?」を検討している労力を、「いかにして接種完了を2週間早くするか?」の検討に当てるべきではないのか。
■むしろ逆効果
・政府に対する批判をかわすために「2週間早く」を宣言しても、実際にその任務を遂行する機関なり業者なりに丸投げするだけであり、あまり意味のないことに対して無理を押して過剰な負担を与えるだけであり、今後重要な役割を果たす者を疲弊させるだけである。
・その結果は、接種の完了日を遅らせる事態を招きかねない。