「陰謀論」について

陰謀論の有名なものに「アポロは月に行っていない」というものがある。

それを題材にした映画もあったが、常識的に考えてそんなことはあり得ない。

「アポロは月に行っていない」と唱える者を、人々は「陰謀論者」と呼んで切り捨てる。

ここで大きな過ちを犯している。

「行っているのか?」「行っていないのか?」の二者択一で判断しようとするが故に、「行ってないわけがない」との判断から、それに異を唱える者の言うことには全く耳を貸そうとしない。

だが、彼らの主張の中には「確かにそれは変だ」と思わせることも多々ある。

私は「アポロは月には行っているが、失敗した時の隠蔽に備えて、色々と情報操作が行われていた。」のが正しいと思っている。冷戦下の状況において実行可能な、最も重要な争い、米露が国の威信を懸けた覇権争いの場において、全てを明るみにして正々堂々と事が進行していたと考える方が不自然だ。

物事を「白」か「黒」かに断定してはいけない。限りなく黒に近い白、限りなく白に近い黒、全く中立の灰色。真実はその無限の段階のどこにでもありうる。最初に「白」「黒」を付けてしまったがために、それ以降、自分の判断の逆を擁護する発言を全て否定してしまうと陰謀を企んだ者の罠に嵌ってしまう。

アポロの件の情報操作を「陰謀」とするならば、「情報操作があった」と訴える者を「陰謀論者」として切り捨てるこは、陰謀を隠蔽しようとする側にとっては、好都合だ。隠蔽したい事を露わにしようとする者に「陰謀論者」のレッテルを貼ってしまえば良い。

実際にはこうした「隠蔽工作」は、もっと巧妙に行われる。ある場合には自ら「陰謀論者」を装い、それこそ誰にも受け入れられないような突飛な「陰謀論」を吹聴して、反対派の威信低下を試みる。反対派の意見から人目を惹くトリッキーな一節のみを強調し、ある時は意味を曲解して流布し、真実を埋もれさせようとする。

さて、では真実を見極めるには、どうしたら良いか?

一見「陰謀論」にしか思えないことであっても、反対派/賛成派の様々な視点からの発言を色々と聞いてみることだ。その時に自分の考えと相反する者の意見を聞く時に「粗を探してやろう」と、感情的に身構えてはいけない。賛成派にしろ反対派にしろ、その人の主張の一から十まで全てを肯定/否定してもいけない。「こいつの言っていること、全くバカらしいが、この点だけはちょっと気になる。」などを心に留め置くことが大事だ。時々、全く別の観点からの話の中に「あぁ、あいつの言っていたのは、このことなのか。」と思わせるような言説があったりする。

今のSNS全盛の世の中、情報は溢れ返っている。真実はその中に埋もれてしまっているので、探すのが大変だ。特にやっかいなのは、陰謀論的なものを面白おかしく、センセーショナルに発信しているアカウントの存在だ。隠蔽に加担している自覚はないのだろうが、センセーショナルな話の方が再生回数が伸びるとの経験から、面白おかしい底の浅い稚拙な内容を垂れ流している。再生回数が多いので、検索上位の目立つ所に居座っているのでやっかいだ。

私の方法はYouTubeで関連動画を視聴することだ。

・初めは底の浅い動画でも良いが、タイトルに自分の知りたい内容が含まれていれば、YouTubeが関連動画をお勧めしてくれる。

YouTubeのAIの出来がほどほどであるため、「この動画を観ている人はこんな動画を観ています」と、段々と同じテーマで反対意見の動画もお勧めしてくれるようになる。

・お勧め動画から、自分の趣味の動画が消えて行ってしまうのがイヤな方は、それ専用のアカウントを別に作っても良い。面倒であれば最初は普段のアカウントで試してみて、興味がなくなって趣味の動画のみ見ていれば、自然とお勧めから外れて行く。

・様々なジャンルの話題を扱っているチャンネルは、ほぼ、アクセス数を稼ぎたいだけでセンセーショナルなタイトルをつけて、ちゃっちゃと動画をアップしているので、内容を真剣に受け取る必要はない。

・ただ、彼らも一から突飛な話を創作して発信しているのではなく、どこかから拾って来た話題の要約を元に動画を作っているので、気になったタイトルがおおよそどんな問題なのかを知るには手っ取り早い。

・動画で情報を集めることの優位な点は、話者の表情や仕草から、その人の人柄、ひいては情報の信憑性が伺い知れることだ。

・普段はある専門的なジャンルに特化して発信しているチャンネルが、ある回だけ自分の探している「陰謀論」的な話題に触れている場合には、注意深く聞く必要がある。

・自分のチャンネルの評価を落としかねないような内容を敢えて公開しているからには、それなりの覚悟があるはずだし、それなりの根拠なり確信なりがある場合が多いと思われるからだ。

さて、今の私の関心事は「来年日本は終わる」である。

この予言じみたタイトル、「終わる」って何?との疑問から、速攻で観る価値のない「陰謀論」である。と思いがちである。私も初めはそう思っていた。

だが、現在の日本の状況、コロナや稚拙な対策、ワクチン問題。またウクライナ問題や物価高騰、増税、終わることの無い政府高官の問題、国債という膨大な借金を若い世代に残すのを厭わず、真剣に問題に向き合うことなく、その場限りのバラ撒きが繰り返されるている現状。

「本当に日本、このままで大丈夫なのか?」と不安に思ったことがある人は多いはずだ。「来年日本は終わる」と言われてもピンと来ないであろが「このままでは日本は危ない」とのタイトルであれば、すんなりと受け入れられるであろう。

ここで一番重要なことは「もし本当だったら、大問題じゃないか?」と思うことだ。新聞やテレビで報道されない/出来ないことがいくらでもあることは、旧統一教会問題で、これだけのことが今まで全く報道されていなかったことに驚いたことがある者であれば身に染みて実感していることと思う。

どう終わるのか、何が問題なのか、どうすれば良いのか。玉石混淆で様々な者が、それなりの地位や実績のある者も含めて、様々な専門分野から時に専門知識を踏まえて、それなりの根拠のある論理的で筋の通った解説をしている。

ウクライナ問題でロシア市民のプーチンを支持する発言を見た時に、「こいつら、情報統制されて真実を知らされていない。可哀そうな奴ら。」と思われた方は要注意だ。自分達はどうなのか?「自分達はそうなっていない」との根拠はあるのか、漠然とそう信じているだけではないか?そこに疑問を持たない限り、このエントリーの内容は、何も共感をもたらすことは出来ないかもしれない。

 

「耳と目を閉じ、口を噤んだ人間になろうと考え」る人には、余計なお世話かもしれないが。